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2020.5.27

新規事業立ち上げのポイント!成功に導くプロセスとフレームワークを解説

written by 宮崎 和樹

ビジネスの環境や形が目まぐるしく変化している昨今、新規事業の立ち上げはどの業界・業種においても容易ではなく、またリスクもつきまといます。しかし、必要に迫られる場合もあることでしょう。

では、新規事業の立ち上げをするにはどのようなプロセスを踏んでいけばよいのか、成功させるためにはどのような点に注意すればよいのか、このような部分を解説します。

新規事業の立ち上げのポイント

新規事業を立ち上げる際に押さえておきたい、重要なポイントを4つご紹介します。

ビジョンを明確にする

新規事業の立ち上げを成功させるには、組織の経営陣と現場従業員が迷うことなく同じ方向に進むための認識合わせ、共感、一体感なども欠かせません。

そこで、「なんのために事業をおこなうか」というビジョンの明確化、そしてそれを正確にメンバー同士で共有するために文字化することが重要です。

この部分が固まっていれば、想定外の事態が発生しても対応しやすくなり、魅力的なビジョンであれば優秀なメンバーも集まりやすくなります。

「顧客」と「自分」の課題を見つける

「自分たちの作りたいもの」をベースに新規事業をスタートしてしまうケースは少なくありません。しかし、それは自己満足でしかなく、市場に求められない商品・サービスになってしまう可能性があります。

求められるものとは、ターゲット層の抱える課題を解決するような商品・サービスです。ターゲット層の抱える課題を見つけるためには、自分自身の抱える課題にも目を向ける必要があります。

市場や業界、既存の商品やサービスをあらためて見直し、顧客と自分にはどのような課題があるのかを考えることで、新規事業のアイデアが見えてくることでしょう。

市場の成熟度・新規参入の余地を分析する

新規事業を検討するうえで、市場の状況を把握することも非常に重要です。将来性がない市場には参入する意味がありません。そのため、新規参入の余地があるか、市場の成熟度を分析する必要があります。

しかし、将来性のある市場は新規参入も多く、競争が激しいです。そこで、競合となる事業の分析も必要になります。他社の弱みを知り、自社の優位性を確保できるような事業を検討するのが理想的です。

経営資源の理解

新規事業の立ち上げを成功させるためには、「ヒト」・「モノ」・「カネ」・「情報」という4つの経営資源それぞれに生じる課題と扱い方を理解し、正しく活用することが求められます。

ヒト

課題としては「どのようなスキルを持つ人間に任せるべきか」「優秀な人材を既存事業から新規事業に引き抜くのは難しい」「任せられる人間がいない」などが考えられます。

これらの解決策として、新規事業に必要なスキルはなにか検討し、「既存事業を担当する優秀な人材の技術力と、新規事業と関連性があるか考える」「社内の各部門がどう既存事業へ貢献しているかの明確化」などが必要です。

モノ

「これまで築いたモノの資源(特許やノウハウ)を活用できるか」また「活用するにはどうすればよいか分からない」といった課題も考えられます。

この課題に対しては、自社の強みといえるノウハウなどの資源をリストアップして、さらに詳細に深堀りし、市場性を明確化することで活用する方法が見えてくるかもしれません。

カネ

予算をどの程度確保するべきか分からない、また予算不足が課題になりがちです。しかし、既存事業のノウハウを有効活用できれば、必要なコストを抑えることができます。

また、市場性の高い技術を持っている、もしくは将来性が高いといえる事業であれば、外部からの資金調達もしやすくなります。

情報

4つの要素のなかでもっとも課題が発生しやすいのが「情報」です。どのような企画を評価すべきか、どのようなプロセス・フレームワーク(枠組み)で進めていくべきか、などの課題が考えられます。

プロセスの構築や、意思決定のノウハウなどがないと、あらゆる意見の対立が発生し、そのまま事業の立ち上げ自体がストップしてしまう可能性もあります。

この解決策として、以下で新規事業の立ち上げに最適なプロセスや、フレームワークについて解説しています。これらを参考に進めていくとよいでしょう。

新規事業立ち上げのプロセス

新規事業の立ち上げに最適なプロセスが「リーンスタートアップ」という手法です。リーン(ムダがなく効率的)とスタートアップ(立ち上げ)を組み合わせた言葉になります。

新規事業やプロジェクトを最小限のコストで立ち上げ、市場においての効果検証をおこないながら、臨機応変に改善していくという手法です。

これを活用することで「時間と費用をかけて生み出した新規事業が、市場ニーズと合致しなかった」といった、コストをムダにする失敗を防ぐことができます。

このリーンスタートアップは、構築→計測→学習のサイクルで進めていきます。

構築→計測→学習のサイクル

早速、リーンスタートアップにおける構築→計測→学習のサイクルについて解説します。

構築

最初におこなうのが「構築」です。まず、顧客と自分の課題と、その解決法に関して仮説を立て、新規事業のアイデアを検討します。

規模はできる限りコンパクトに、なるべく時間やコストを抑え、立ち上げやすい範囲で開発をおこないます。そして、完璧でなくてもよいのでMVP(試作品)として形にし、試用してもらいます。

計測

構築のプロセスで作成したMVPを少数の顧客やアーリーアダプター(流行に敏感で、他のユーザーへの影響力を持つ利用者層)に提供し、その反応や効果を「計測」します。

また、「構築時の仮設が正しいか」、誤っているのであれば「なにを改善すべきか」といった部分の判断もおこないます。

学習

計測の結果を踏まえ、「MVPの具体的な改善点」もしくは「この事業は成功の見込みがあるかどうかの判断」について考えるのが「学習」のプロセスです。

顧客やアーリーアダプターの反応から、最初の仮説が誤っている場合はそれ自体を見直し、大きく方向転換します。

成功の見込みがないと判断される場合、この時点で早期撤退を決めれば、余分にコストを掛けずに済みます。また、この経験は次に活かすこともできるため、一連のプロセスはムダになりません。

新規事業立ち上げのフレームワーク

新規事業の企画や課題解決には、市場調査や自社の優位性の調査など多角的な分析をおこなうことも重要です。それには指標となる一定の基準が必要になります。

この一定の基準による分析の枠組みをパターン化したものが「フレームワーク」です。

フレームワークは、これまでにあらゆるコンサルタントや研究者によって試行錯誤のうえで確立された手法であり、効率的に高精度の分析をおこなうことができます。

新規事業立ち上げに係る分析をおこなう際に、効果的なフレームワークを5つご紹介します。

MVV

MVVとは「ミッション(果たすべき使命)」・「ビジョン(実現したい姿)」・「バリュー(行動指針)」の略で、社会における組織の使命や役割を定義し、メンバーと共有するためのフレームワークです。

これらを定義して共有することで、企業として進むべき道が示され、またメンバーの求心力にもなり、第三者にも組織の役割を認識してもらえるようになります。

ミッション(MISSION)

もっとも重要な要素であり、企業の存在意義、また社会において果たすべき使命や役割のことです。

ビジョン(VISION)

実現したい姿、理想の未来など、目標のことです。顧客や世の中が好感を持つような未来を示すことが望ましいです。

バリュー(VALUE)

ミッション、ビジョンの実現のために重要な指針であり、顧客に対して提供する価値などをいいます。

3C分析

3C分析とは市場の環境を分析し、経営戦略を立案するためのフレームワークです。3Cとは「市場・顧客(Customer)」、「競合(Competitor)」、「自社(Company)」を意味します。

それぞれつぎのような観点で分析をおこない、KSF(Key Success Factor/成功要因)を見出すことが目的です。

市場・顧客(Customer)

  • 市場の規模とその推移
  • 顧客ニーズ
  • 顧客の購買行動

競合(Competitor)

  • 競合の特定とその商品、サービスがもたらした結果
  • 競合の商品、サービスが結果を出した要素
  • 競合の商品、サービスが結果を出した仕組み

自社(Company)

  • 自社の経営理念と戦略
  • 自社の強みと弱み、バリュー
  • 自社の商品、サービスとそれが結果を出す仕組み

SWOT分析

SWOT分析は、自社の資産やブランド力などの内部環境、競合や市場の流行などの外部環境を、プラス面マイナス面とで分けて分析をおこなうための指標です。

SWOTとは、「強み(Strength)」・「弱み(Weakness)」・「機会(Opportunity)」・「脅威(Threat)」という4つの要素をつなげた言葉になります。

強み(Strength)

自社の強みのことです。長年の実績や技術力の高さなど、自社の強みといえる部分はなにか、なぜ顧客が利用してくれるのか、などを分析します。

弱み(Weakness)

自社の弱みや欠点のことです。競合に劣る部分はなにか、たとえばリソースやコスト、宣伝力など、自社の欠点となる部分を挙げていきます。

機会(Opportunity)

市場においてチャンスとなる外部要因のことです。どのような環境の変化が自社のビジネスチャンスとなるのか、競合はどのような対応をしているのか、などを分析します。

脅威(Threat)

自社の強みを打ち消す恐れのある競合他社の動向、環境の変化などのことです。脅威を把握しておくことで、ピンチをチャンスに活かせる可能性を発見できる場合もあります。

VRIO分析

VRIO分析とは、企業の内部に存在する経営資源の強みや自社の優位性を明確化し、市場シェアの拡大や顧客満足度の向上、優位性の保持や強化なども目的としたフレームワークです。

「経済価値(Value)」・「希少性(Rarity)」・「模倣可能性(Inimitability)」・「組織(Organization)」4つの要素を意味します。

経済価値(Value)

社会的に見て、自社の経営資源に経済的な価値があるといえるかを分析する要素です。外部環境による脅威や市場に進出する機会の検討の際に重要となります。

希少性(Rarity)

独自のノウハウや生産技術など、他社が持ち得ない経営資源について分析する要素です。希少性が高いほど顧客の購買意欲を高めることができ、他企業による後発の市場参入を防止できます。

模倣可能性(Inimitability)

自社の経営資源を他社が模倣することができるのか、その難易度を評価する要素です。この要素が高いほど市場において長期に渡り競争優位性を維持することができます。

組織(Organization)

自社の経営資源を有効活用できているかを分析する要素です。あらゆる要素で優位性があっても、有効活用できないようであれば意味がありません。

自社における企業文化の醸成、組織体制、意思決定の柔軟性やスピード感などを評価します。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップとは、自社の商品・サービスを競合と差別化し、競争優位性のある独自のポジションを確立する際に使用する手法です。

市場における商品の特徴をそれぞれ縦軸と横軸からなる座標に示し、ひと目で関係性が分かるようにします。

ポジショニングマップの作成方法

1. 軸の要素を4つ選定する
2. 選定した軸を縦軸・横軸に記載し、自社と競合の商品をプロットする

軸の選定ヒント

1. 商品の使用機会、用途に基づいた軸
2. 商品の仕様、機能に基づいた軸
3. 商品の満たすニーズ、提供するベネフィットに基づいた軸
4. 競合商品の特性やメリットに基づいた軸

新規事業の立ち上げで不足しやすいリソース「デザインスキル」

新規事業には「デザイン」も欠かせない要素のひとつです。優れた商品・サービスであっても、それを見やすく魅力的に見せることができなければ、手にとってもらいにくくなります。

たとえば、商品・サービスの販売には「サービス名」「ロゴ」「クリエイティブ制作」などの作業が発生します。このように、デザインスキルが必要な部分もあり、これがリソースとして不足してしまいやすいです。

事業内容にもよりますが、少なくとも企画段階で「リサーチ」「デザイン」「ビジネス」3部門における専門性が必須になります。

デザイン制作のおもな流れ

1. 市場の環境と顧客を理解する
2. 理想のユーザー体験を描き、それを基に重要なポイントやキーワードを設定
3. サービス名の設定
4. ロゴ作成
5. クリエイティブ制作(メインビジュアル、メインコピー、ティザーサイト、OGPなど)

自社にこのようなデザインの専門的な人材が在籍していればよいですが、一から勉強して実装する必要がある場合は外注に依頼したほうが時間やコストを抑えられ、高いクオリティで仕上がります。

デザイン面のコストを削ってしまうことなく、プロに任せることでより魅力的な商品・サービスとして仕上げることができます。

まとめ

新規事業の立ち上げには、つぎのようなものが必要であると解説しました。

  • ビジョンの明確化
  • 「顧客」と「自分」の課題を見つける
  • 市場の成熟度・新規参入の余地を分析
  • 経営資源の理解
  • プロセス
  • フレームワークによる分析
  • デザインスキル

事業を成功させるためにはどれも欠かせない要素です。ムダは削りつつも必要な部分には時間やコストを割き、より良い商品・サービスとなるよう努力を続けていくことが重要になります。

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